冒頭|最近のご相談あれこれ
新山:
前回のインタビューでは、「人を起点にした経営」というコンセプトに共感の声が多く届きました。最近はどんな相談が増えているんですか?
豊川:
採用のご相談は相変わらず多いんだけど、それ以外にも「展示会に一緒に出て営業してくれませんか?」とか、「新規事業の立ち上げに入ってほしい」みたいな、もはや何屋さんなんだって感じの相談も増えてて(笑)。
新山:
それ、完全に“なんでも伴走係”ですね(笑)。
豊川:
ほんとに(笑)。でも僕、できることなら企業様と一緒に走り回りますし、できないことがあれば、大学の研究者とか専門家にもアポ取って巻き込んで、一緒にプロジェクトを動かしていく。それがオモイビトらしさかなと思ってます。
新山:
今日はそんな“今のオモイビト”が、実際にどんな現場でどんな課題に向き合っているのか、リアルなところをぜひ聞かせてください。
地方×業種=採れない構造
豊川:
やっぱり一番多いのは「採用」のご相談ですね。特に地方の中小企業では、「人が来ない」「来てもすぐ辞める」「広告費だけかかって成果ゼロ」という悩みが本当に多い。
新山:
業種とかエリアのせいにされて、諦めちゃってるパターンもよく見ますよね。
豊川:
「うちは地方だから」「この仕事は人気がないから」って。でも実際は、採用設計そのものが機能していないケースも多いんです。打ち出し方や伝え方をちょっと変えるだけで、応募が来るようになることも全然ある。
「広告出した=やった」ではない
豊川:
共通してるのは、“やりっぱなし”とか“投げっぱなし”。求人広告を出したら終わり、紹介会社に任せたら完了、みたいな空気がありますよね。
新山:
ありますね…。とりあえず媒体に出したらOK、みたいな。
豊川:
そう。でもよくあるのが、求人広告会社にまるっと任せて、自社の強みや魅力を、出会って数日の営業担当者に言語化してもらってるんです。
当然、「明るく活気ある職場です」みたいなテンプレになりがちで、何社見ても同じに見える。
新山:
それ、正直求職者側としては見飽きてますよね(笑)。
豊川:
でしょ?でもそれで応募が来ないと「人がいない」「媒体が悪い」ってなる。本当は、“誰に、どう伝えるか”をもっと丁寧に考えるべきなんです。
新山:
「自分が応募者だったら惹かれるか?」って視点ですよね。
豊川:
そう。それに、もし本当に“打ち出せる魅力がない”のであれば、それは「採用の工夫」じゃなくて「経営の問い直し」が必要なタイミングです。
経営者自身が、改めて「うちって、どんな会社にしたいんだっけ?」って考える。人を起点に経営を見つめ直すべきなんですよ。
紹介会社の集客を内製化し、仕組みで採用コストを下げる
豊川:
紹介会社も同じで、最近は手数料が安くても1人100万円以上かかることがほとんど。
そうなると「この人じゃないと採らない」と採用のハードルが上がって、結局いつまで経っても採れないということもあります。
新山:
「数は来てるけど、決められない」って企業さん、めちゃくちゃ多いです。
豊川:
それに加えて、そもそも「その紹介会社って、何に強いの?」とか「どうやって候補者集めてるのか?」って、意外と知らずに使ってるケースが多い。
新山:
それって…調べたりできるものなんですか?
豊川:
できますよ。例えば、どの求人媒体を使っているか、どんな広告を出しているかを見れば、ある程度「誰に」「どうリーチしているか」がわかります。
で、面白いのは…結局どの紹介会社も、使っている集客経路ってほとんど同じなんですよ。
新山:
あ、それ気になってました。どこも結局似たような求人媒体に出してるだけだったり。
豊川:
そうそう。ということは、「だったらその集客ルート、企業側が自社で持てばいいんじゃない?」って話なんです。
媒体の運用や応募管理をちょっと頑張れば、紹介手数料100万円分の採用って、普通に内製化できる可能性がある。
新山:
たしかに。“任せる”こと自体は悪くないけど、“仕組みごと丸投げ”はコストがかさむばかりで、何も残らないですもんね。
豊川:
まさに。“使う”か“使われる”かの差ですね。採用も経営の一部として考えれば、自社で再現できるところは増やしていくべきです。
新山:
実際、僕たちもやってますよね。採用代行の中で、企業の母集団形成のノウハウを一緒に作って、最終的にはそのノウハウを移管して自社で回せるようにするっていう。
豊川:
そうそう。最初は伴走しますけど、最終的には“自分たちで採れる状態”をつくるのがゴール。再現性のある仕組みを残すっていうのが、僕たちの支援スタイルの基本なんです。
採用は、経営のデザインでもある
新山:
採用って人事領域の話だと思ってる人、多いですけど、ここまで聞くと「経営」そのものですよね。
豊川:
その通りです。「誰を」「いつ」「どこで」「何のために」採るのかは、完全に経営判断です。
だからこそ僕たちは、採用だけで終わらず、配置、育成、現場への落とし込み、新規事業まで一気通貫で支援しています。
オモイビトのこれから
新山:
今後、オモイビトとして取り組んでいきたいことは?
豊川:
「人を起点にした経営支援」を、もっと再現性のある“型”にしていきたいですね。
属人的にならずに、誰でも一定の成果を出せるような仕組みをつくって、支援できる企業の幅を広げたいと思っています。
新山:
“想い”と“構造”の両立ですね。
豊川:
まさに。熱意だけじゃなく、仕組みとして機能するものにしていく。それが今の僕たちの挑戦です。
最後に、読者へのメッセージ
新山:
では最後に、このインタビューを読んでくださっている方々に一言お願いします。
豊川:
「人が採れない」「採っても育たない」――そんな悩み、仕方ないことじゃなくて、変えられることかもしれません。
もし少しでも「うちもそうかも」と思った方がいたら、気軽に声をかけてください。
一緒に“人から始める経営”を考えていけたら嬉しいです。